『クロエへの挽歌』
マージェリー・アリンガム/井伊順彦訳/新樹社
上演中のミュージカルに対するいやがらせが立て続けに起こっているので、そのことについて調べて欲しいという依頼をミュージカルの主演俳優ジミー・ステインから受け、ミュージカルの原作者であり知人でもあるファラデー氏とともにステインの楽屋を訪れた探偵のアルバート・キャンピオン。ステインの話によれば、いやがらせはミュージカルだけにとどまらず、自宅のほうでもおこなわれているらしい。翌日、自宅に来て欲しいとステインから言われ、キャンピオンは、ファラデー氏とともにステイン家をたずねる。ところが、その最中にもおかしなことが起こり、その上、ステインの家に滞在していたステインの共演者の女優が亡くなってしまい……。
主人公のキャンピオンをはじめ、脇役陣も個性派ぞろいです。キャンピオンは、調査を進めるうちに生じてしまった自分の悩みのために調査から身を引きたいと思ってしまったり、自分が好感を抱いている人物が怪しく思えてくると心がざわついてしまったりするような、とっても人間味のある探偵です。以外な結末には驚かされましたが、最後にはほろっとさせられました。そして、日本語のタイトル『クロエへの挽歌』の意味も納得しました。後味のいいミステリです。1930年代という設定ですが、決して古い感じはせず、物語がミュージカルのシーンから始まったり、登場人物の多くがミュージカルの関係者だったりするせいか、華やかな雰囲気も漂っています。そんな中に、ユーモアも含まれていたり、ほろっとさせられるようなシーンもあって、物語性も楽しめるミステリでした。
キャンピオンものはシリーズとなっているようなので、シリーズのほかの本も読んでみたいです。












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