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2008年3月の6件の記事

『名画消失』

ノア・チャーニイ/山本博訳/早川書房

 ある夜、ローマのサンタ・ジュリアナ教会からカラヴァッジョの『受胎告知』が盗まれる。そして、同じころ、パリのマレーヴィチ・ソサイアティからマレーヴィチの『白の上の白』が盗まれる。さらに、イギリスのクリスティーズでオークションにかけられて売られた作品も盗まれる。これらは、世界を股にかけた名画泥棒の仕業なのか? はたまた、偶然時を同じくして盗まれただけのことなのか? それぞれの場所で、警察が美術専門家の協力をあおぎながら捜査を進めるが……。

 著者は美術の専門家で、美術犯罪調査機構を設立しているということなので、絵画に関する薀蓄もたくさん盛り込まれていて、そのあたりも大いに楽しめました。

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Mum's the Word

Mum's the Word/ Kate Collins/A Signet Book

 インディアナ州で花屋を営むアビー・ナイトは、自分の店の向かいに愛車のコルベットコンバーチブルを停めた。その直後、見知らぬ男が路地から飛び出してきて、コルベットの前に停めてあった車に乗り込み、大急ぎで車を発進させようとしてバックした瞬間、アビーのコルベットに追突してしまった。だが、男はそのまま走り去ってしまった……。
 そして、その朝、アビーは、店で働いているロッティーから、いとこのパールの離婚に関して相談される。今は花屋を営んでいるが、一年前にはロースクールに通っていたアビー。けれども、成績が悪く退学せざるを得なくなり、その後、花屋を営むことになったのだが、周囲の人間からは、そんなアビーでも法律に詳しいと思われるらしく、いろいろな相談をもちかけられてしまうのだ。

 コルベットに追突した車のナンバーの一部と車を運転していた男のようすを覚えていたアビーは、警察に通報するとともに、自分でも、その男と車を探し始める。さらに、パールが夫のハーディングから虐待を受けていたことを知り、ハーディングの周辺も探り始める。そして、二つの件が絡み合うようにして、アビーの周辺でさまざまなことが起こり始め……。

 いろいろなことに首をつっこんでしまうアビーは何度も危険な目にあうのだが、悪に目をつぶることができない性格。そんなアビーに、かつて警官だった探偵のマルコが手を差しのべ……。

 これは、アビーを主人公とする素人探偵ものでもあり、コージーミステリでもあります。アビーの営む花屋で働くロッティーやグレース、アビーと一緒に住んでいる幼なじみのニッキー、そしてアビーの両親など、個性豊かな人物がたくさん登場する、楽しく読めるミステリです。

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『Give & Givenの発想』

佐々木かをり/ジャストシステム

 ユニカルインターナショナル代表取締役でありCBSドキュメント・キャスター(1997年の本書発行時)である作者の、"Give & Take"ではなく"Give & Given"という考えかたに基づいて書かれた本で、「自分が動く、世界が変わる」という副題がついている。

「仕事と家庭の両立」というふうに「仕事」と「家庭」を分けて考えるのではなく、「仕事」も「家庭」もそのほかのものも含めてすべてが自分の車輪であって、そのすべてをうまくマネジメントしながら生きている、というふうに考えて、常に前向きに生きている著者からは学ぶべきことがたくさんあります。
「(これから)~しよう」ではなく、「(今)~している」と言える状態にすること、常に自分の「最高」で対応すること、なにかをするときには起こりえることを想定しながら、そうなったときにどう対応すればいいかを考えておくこと、どんなプレッシャーにあっても「私、楽しんでるかな?」と自分に問いかけることが大事なこと、愛を込めて仕事をする、肯定文で話して成功のイメージを作る、人と競いあって勝つのではなく、お互いにプラスの効果を出せる「ウィンーウィン(Win-Win)」という考え方などなど……。

 「こんなふうにものごとを考えるようになりたい」、いや、「考えている」と思いたくなって、気持ちが前向きになれました。

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『桜宵』

北森鴻/講談社文庫

 東急田園都市線三軒茶屋の駅から少し入ったところにあるビア・バー「香菜里屋」。そこの店主の工藤が、客から持ちかけられた謎を解いていく話をおさめたシリーズ短編集の2作目。ときには、客のようすから、その謎を解いてしまうこともある。
 客と話をしながら、なにげなく工藤が料理を出すのだが、それが、とてもおいしそう。こんな落ち着いた、雰囲気のいいビア・バーに、行ってみたいな。
 

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『1/2の埋葬』(上・下)

ピーター・ジェイムズ/田辺千幸訳/ランダムハウス講談社

 舞台はイギリスのサセックス州。結婚式を間近に控えたマイケルを、友人たちは独身最後の夜(スタグ・ナイト)のいたずらで棺桶に入れて埋めてしまった。もちろん、本気で殺すつもりはないから、蓋に穴をあけて、そこに管を通して呼吸ができるようにしていたし、トランシーバーを入れて自分たちと連絡を取れるようにしていたし、二時間ほどしたら戻ってきて棺桶から出してやるつもりだった。だが、その友人たち四人の乗る車が事故を起こしてしまい、四人のうち三人が亡くなり、残りの一人も話ができないほどの重傷をおってしまった……。
 一方、行方不明のマイケルを心配した婚約者のアシュリーが警察に届け出、その届け出を受けたブランソンが、グレイス警視に協力を依頼する。
 マイケルは友人たちが残していった無線機で連絡を取ろうとするが、友人たちは自分たちにしかつながらないように無線機に細工をしていた。そのうえ、事故現場に残っていた友人たちの無線機は、警察が見つける前に、ある人物が持ち去ってしまった。マイケルは携帯電話で婚約者に連絡を取ろうとするが、電波が届かずつながらない。はたして、グレイス警視たちはマイケルを生きた状態で無事救出できるのだろうか?

 話の設定や、グレイス警視たち主要な登場人物には魅力を感じるのだが、グレイス警視が超常現象を信じていて捜査に利用するところが納得できなかった。グレイスが超常現象を信じるようになったのには、それなりの理由があるとはいえ、やはり人間の頭で考えた方法で捜査をしてほしいと思った。その点だけが残念!!

 それにしても、スタグナイトとは、なにをされるかわからないほど恐ろしいものなのですね~。マイケルはいたずら好きで、これまでに友人たちのスタグナイトに、けっこうすごいことを率先してやってきたようなので、友人たちもさらにエスカレートしちゃったのでしょうか?

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『遠まわりする雛』

米澤穂信著/角川書店

 省エネ少年、折木奉太郎を主人公とするシリーズの4作目。
奉太郎たちが高校入学後から翌年の春休みまでに遭遇し、解決する謎解きを収めた短編集で、奉太郎たち古典部メンバー4人の身近に起きた事件などを扱っています。
 これまでと違って、人間関係が微妙に変化してきているあたりが読みどころでしょうか。
 次作では、奉太郎たちは2年生になっているのかな? 4人の関係はどうなるのかな? なんてあたりが楽しみなところです。

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