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『冬そして夜』

S・J・ローザン/直良和美訳/創元推理文庫

 アイルランド系のビル・スミスと、ニューヨークのチャイナタウンで育った中国系の女性リディア・チン。この二人の私立探偵が交代で主人公をつとめるシリーズの8作目。
 二人はいつも、互いの調査に協力し合っている。
 

 今回の主人公はビル・スミス。
 11月半ばの真夜中、ビルは警察からの電話で起こされる。すりを働いていた少年が、知り合いとしてビルの名を告げたのだという。署に行ってみると、少年は妹ヘレンの息子のゲイリーだった。ビルはゲイリーを自宅に連れ帰ってきたが、ゲイリーは、自分にはやらなければならない大事なことがあって家を出てきたのだという。そして、ビルが目を離したすきに姿をくらましてしまった。

 ゲイリーが何をやろうとしているのか、どこに行ってしまったのかを突き止めようとするビルは、妹一家の住むワレンズタウンをたずねる。そして、そこでゲイリーの友人たちに話を聞こうと動き回っていると、ある家で少女が死んでいるのを見つけてしまう……。
 ビルとしては、ゲイリーを探すことさえできればいいと思っているのだが、いつのまにか少女の事件にも巻き込まれていってしまう。
 

 甥のゲイリーを探す過程で、ビルは、それまでリディアにも秘密にしてきていた自分の辛い過去について話さざるを得なくなってしまったり、アメリカン・フットボールの盛んな町ワレンズタウンの抱える問題に直面することにもなる。

 1作目を読んだまま、気になりながらなかなか読めなかったシリーズ。
この8作目では、ビルがずっと語ろうとしなかった過去が明らかになったり、甥を探し、問題を解決しようとする過程で重たい、やるせない問題に直面したり、という辛い場面が数多くあるが、シリーズを通して読んでみたいな、と思えた。

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