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2009年1月の4件の記事

『荒野のホームズ』

スティーヴ・ホッケンスミス/日暮雅通訳/ハヤカワ・ミステリ

 19世紀末、実際にイギリスでホームズ物が書かれていたころのアメリカ西部。

 オールド・レッドこと兄のグスタフ・アムリングマイヤーと、ビッグ・レッドこと弟のオットー・アムリングマイヤーという赤毛の兄弟は、カウボーイだ。洪水と病気で両親とほかの兄弟たちが亡くなってしまい、今では身内は二人だけとなってしまった。家が貧しかったため、ビッグ・レッド以外は学校に通うことができなかったので、字の読めないオールド・レッドは雑誌の記事などをビッグ・レッドに読み聞かせてもらっていたが、そうして読んでもらった中のホームズ物が大のお気に入りとなり、何度も何度も読んでもらっているうちに、その内容も、ホームズの謎の解き方もすっかり覚えこんでしまっていた。

 二人は同じ牧場にカウボーイとして雇われることになったのだが、そこで、支配人が亡くなり、その後、カウボーイの一人も亡くなってしまう。その謎を、オールド・レッドがホームズ張りの推理力で解いていく。そして、その話を書き記していくワトスン役は、とうぜんながら弟のビッグ・レッドだ。

 著者も、もちろん、ホームズの大ファンなのだろう。イギリスからやってきた牧場のオーナーたちの会話の中で、ホームズが実際にイギリスで解決した事件のことなどがさりげなく書かれている。西部のカウボーイとホームズというおもしろい取り合わせが、違和感なく書かれている。

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『女には向かない職業』

P.D.ジェイムズ/小泉喜美子訳/ハヤカワ・ミステリ文庫

 探偵事務所の所長が自殺をし、パートナーとなっていたコーデリアは一人残された。そこに持ち込まれた依頼。大学生の息子が自殺をしたのだが、原因を調べて欲しい、というものだった。周囲の「女には向かない職業」ということばには耳を貸さずに、コーデリアは依頼の件を調べはじめる……。

 コーデリアは初めて一人で担当する調査を、所長が生存中に言っていたことばを頼りに進めていくが、そのうちに、大学生の死は自殺ではなく他殺なのではないかと思うようになっていく……。
 
 自殺した探偵事務所の所長は、その昔、かの有名なダルグリッシュ警視の部下だったため、所長は折に触れてはダルグリッシュに教わったことをコーデリアに伝えていて、今回の件で、それが大いに役にたったのだが、最後にコーデリアとダルグリッシュの対面という場も用意されている。

 重厚で読み進めるのが大変といわれるP.D.ジェイムズの作品の中では、読みやすい作品です。再読ですが、だいぶ前に読んだせいか、内容をほとんど忘れてしまっていました。(^^;)

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『夢果つる街』

トレヴェニアン/北村太郎訳/角川文庫

 カナダのモントリオールにあるザ・メインという地区を担当しているラポワント警部補。この地区には、さまざまな国籍の人々が暮らしている。ある日、ザ・メインで殺人事件が起き、捜査をするラポワントの下に新米警官が送り込まれてくる。けれども、独特の方法でザ・メインの治安を守っているラポワントのやり方に、大学で刑法を学んできた新米警官はなかなかついていけない。それでも、少しずつ少しずつ、ラポワントのやり方も理解するようになっていく。

 若いころに妻を亡くし、その後、独身を通してきたラポワント。孤独感と苦悩を抱えながら、ひたすらに刑事としての仕事に取り組んでいる。

 警察小説ではあるけれど、事件の捜査に中心をおくのではなく、ラポワント警部補という一人の人間の生き方を通して語られる警察小説となっている。

 雰囲気がとても好きです。じっくりと読める作品です。
ベスト・ミステリなどでよく名前の出る作品なので、読みたいと思いながらも、後回しになっていた作品の一つ。今年は、新しく出される作品と並行して、気になりながら読まずにきてしまったこのような作品も読んでいきたいです。

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『福家警部補の挨拶』

 小柄で縁無し眼鏡をかけた、髪の短い女性。それが、福家警部補。そんな容姿だから、現場にかけつけても警察関係者だと一目でわかってもらえないのに、なぜかいつも、現場到着時に、バッグの中から警察バッジがすんなりと出てこない。
 そんな警部補だが、捜査能力は抜群で、事件に追われて徹夜状態がつづいていても、しっかりと犯人を捜しあてる。この女性版コロンボともいえる福家警部補を主人公とするミステリ短編集。

 犯罪が行なわれる場面が先に書かれていて、読者としては犯人がわかっている状態なので、福家警部補が犯人を見つけ出していくようすを楽しみながら読んでいけます。
 軽いミステリを読みたいときにお勧めです。
 

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